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明日は怠惰なゴムのあくび
静かな足踏み
警笛を置き去りにして
扉は口ごもる
昨日はただ衣擦れの浅瀬
忘れたシンバル
魚になった車掌は帰り
私は書き留める
大きな帽子は平仮名を拾う
窓から誰かが傘をさす
駅まで風呂に浸かった二人
溶けたがる一人
今日も公園のブランコ乗りは
白い二進法
遠回りして帰るから
電話はいらない


破れかけた緑の
網にかかった
半分だけの海
退屈しのぎに雲は
流線形の声を投げる
削られたばかりの
鉛筆の森で
誰かを待つ看板
諦めた二人は
自転車のカゴの中で歌う
老婆の出した手紙の束の
小屋の屋根にとまった鳥が
見つめるテレヴィジョンも
きっと子供のころから
眠り続けている
錆びた硬貨で買ったパンの
零れたジャムは
もう砂の中
おかえり、
おかえり


無口な異国の囚人が
天井に汲み上げた井戸水に
マニキュアをしたヒバリたちが
静かに手を浸す
人の良い司会者は草むらに
こっそりサイダーの瓶を隠し
背広のボタンは飛び散って
その下を折り紙の電車が通る
風は冬にアイスクリームを食べすぎたから
歯を磨いて今はバナナのにおい
交差点に誰かが置き忘れたカンバスを見て
涙ぐんだ制服の少女は下着をそっと直す
マトリョーシカよ
背筋を伸ばせ
疲れた眼差しになる前に


電信柱にほおずき生って
松ぼっくりも巣に帰る
私は坊やのつっかけ履いて
どこにも口ないポストを探す
二人で一つの絵日記は
でたらめだけを書く約束
横顔だから眼鏡はかけず
開けたら煤だけこぼれ落ちる
途中で切れた階段で
見下ろす一輪車の広場
誰かの息が撫でるのは
昨日の晩の引っかき傷
一度だけ合った七並べ
造花の庭の人形遊び
あの子のセルロイドの腿に
はらはら落ちた雫を見てた
木箱の親子が目指すのは
お空に浮かんだ赤い繭
お願い私も連れてって
押入れの中で眠りたい
